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秋田地方裁判所 昭和45年(わ)88号 判決 1970年9月21日

本店所在地

秋田県北秋田郡田代町早口字深沢岱三番地

林友木材株式会社

代表取締役

渡辺昌

本籍

秋田県北秋田郡鷹巣町鷹巣字北鷹巣二六七番地

住居

同所

会社役員

渡辺昌

明治四一年四月一五日生

右両名に対する法人税違反被告事件について、当裁判所は、検察官高村七男出席のうえ審理し、つぎのとおり判決する。

主文

被告人林友木材株式会社を罰金七〇〇万円に、

被告人渡辺昌を懲役一〇月に処する。

被告人渡辺昌に対し、この裁判確定の日から二年間右刑の

執行を猶予する。

理由

(罪となるべき事実)

被告人林友木材株式会社は、秋田県北秋田郡田代町早口字深沢岱三番地に本店を置き、木材素材の製産、販売ならびに製材木工樽丸業等を営むものであり、被告人渡辺昌は、同会社の代表取締役として、その業務全般を統轄しているものであるが、被告人渡辺昌は、同会社の業務に関し、いわゆる売上除外の方法により法人税を免れようと企て

第一、昭和四一年四月一日から同四二年三月三一日までの事業年度において、同会社の所得金額が四三、七二四、四八八円であり、これに対する法人税額は一五、〇九三、四〇〇円であるのに、公表経理上、売上の一部を除外する等の不正の行為により、その所得を秘匿したうえ、同四二年五月三一日、所轄の大館税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が二、三三八、五六一円であり、これに対する法人税額は六五四、七八〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により右事業年度の法人税額一四、四三八、六〇〇円を免れ

第二、昭和四二年四月一日から同四三年三月三一日までの事業年度において、同会社の所得金額が三五、三五〇、一六三円であり、これに対する法人税額は一二、一三六、二〇〇円であるのに、公表経理上、売上の一部を除外する等の不正の行為により、その所得を秘匿したうえ、同四三年五月三〇日、所轄の大館税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が六、三九二、六四一円であり、これに対する法人税額は二、〇〇四、四〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により右事業年度の法人税額一〇、一三一、八〇〇円を免れ

第三、昭和四三年四月一日から同四四年三月三一日までの事業年度において、同会社の所得金額が三三、三九四、四四一円であり、これに対する法人税額は一一、一六六、七〇〇円であるのに、公表経理上、売上の一部を除外する等の不正の行為により、その所得を秘匿したうえ、同四四年五月二八日、所轄の大館税務署において、同税務署長に対し、右事業年度の所得金額が一三、四四二、六三八円であり、これに対する法人税額が四、一九五、五〇〇円である旨の虚偽の法人税確定申告書を提出し、もつて、不正の行為により右事業年度の法人税額六、九七一、二〇〇円を免れ

たものである。

(証拠の標目)

一、被告人の当公判廷における供述

一、被告人の検察官に対する供述調書

一、収税官吏の被告人に対する質問てん末書一四通

一、被告人作成の上申書六通

一、工藤久志、福士武四郎、西根忠治、沢田石綾子および鎌田時蔵の検察官に対する各供述調書

一、収税官吏の工藤久志(二五通)、福士武四郎(七通)、西根忠治(三通)、沢田石綾子、沢田昌次郎、武田富次郎(二通)見上睦雄、柴田幸次、成田秀二、伊藤良司、山崎昭良、秋元鉄男、大山豊治郎、佐藤清、川口(二通)、大塚光夫、佐々木高貞、山田与四郎、草野友寿(二通)、近江貞三郎、小林信郎、伊藤亀蔵、伊藤幸二郎、河田文一郎、津谷徳治、阿部秀雄、北林正治、鳥潟政治、鎌田栄吉郎、龝田房志(二通)、渡辺ヒデ(二通)、鎌田時蔵に対する各質問てん末書

一、工藤久志(二通)福士武四郎、西根忠治、佐々木喜一、大原真一、平川哲作、斎藤敦子、藤田繁二、鈴木繁、加賀谷幸一、武田富治郎、見上睦雄、伊藤良司、大山豊治郎、加藤武雄、藤田吉美、米倉甚逸、太田哲雄、三輪邦雄、岩川釣哉、中山宇一郎、米沢貞蔵、米沢シマ、米沢文雄、津谷英蔵、渡辺ヒデ(五通)、沢田昌次郎、渡辺和子各作成の上申書

一、登記簿謄本

一、収税官吏作成の簿外領金等調査書二通、銀行調査書、渡辺ヒデ関係の銀行調査書および法人税修正申告書謄本四通

一、池田弥太郎、高橋武次郎および大湯清作各作成の回答書

一、押収してある法人税確定申告書三綴(昭和四五年押第二四号の一、二、三)、決算報告書原本(同四)、メモ四通一九枚(同五ないし八)元帳七綴(同九ないし一五)、原木仕入帳三綴(同一六、一七、一八)、原木受払簿八綴(一九ないし二六)契約書綴二綴(同二七、二八)、精算書四枚(同二九)、決算資料二袋一八通(同三〇、三一)、仕入帳一冊(同三二)、買掛帳一冊(同三三)、作業月報八冊(同三四)、領収書控六冊(同三五)、運賃請求書八冊(同三六)、運賃請求内訳書一綴(同三七)、元帳(個人分)四綴(同三八ないし四一)、金銭出納帳一冊(同四二)、手帳一冊(同四三)、土地売買契約書類一綴(同四四)、固定資産税台帳一冊(同四五)

(法令の適用)

被告人渡辺昌の判示各所為について

法人税法一五九条一項(懲役刑選択)、刑法四五条前段、四七条本文、一〇条(犯情の最も重い判示第一の罪の刑に法定の加重をした刑期範囲内で処断する)、二五条一項。

被告人林友木材株式会社について

法人税法一五九条一項、一六四条一項、刑法四五条前段、四八条二項。

(裁判官 伊澤行夫)

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